リンガハウス講師の小林さんに、4年半過ごしたアメリカでの経験や日本との違いについて、インタビュー形式でお話ししていただきました。
海外に滞在していたときのことについて教えてください。
小学校4年生から中学校2年生まで約4年半、アメリカのアラバマ州で生活していました。現地の子どもたちも通う、地元の学校に通っていました。
アメリカでの生活で大変だったことは何ですか?
食生活と言葉が通じないことが大変でした。
食生活については、学校の給食にジャンクフードが多く、毎日ハンバーガーやピザが出てきました。毎日ジャンクフードを食べるのは辛かったので、自分でお弁当を持って行くようにしていました。
また、私は英語が全くわからない状態で渡米したので言葉の壁が非常に大きく感じていました。地元の学校に通っていて授業はすべて英語で行われるので、はじめは先生が言っていることを理解できませんでした。授業の内容だけでなく、クラスメイトとコミュニケーションをとるのにも苦労しました。
言葉の壁はどのように乗り越えましたか?
毎日英語を使わなければならず家族の助けも得られない「学校」という環境は、私の英語力が向上するきっかけにもなりました。例えば、リスニングは毎日ネイティブスピーカーの発音を聞いていたので、半年でかなり上達しました。リーディングも1年で上達しました。
スピーキングについては、中学校に入ってから上手く話せるようになりました。中学校には、韓国やインド、メキシコ、バングラデシュなど他国出身の同級生が多くいました。その中で、日本のことが好きな友人と出会い、彼らと積極的に話すようになりました。そのおかげで、スピーキング力が伸びたと感じています。
アメリカで暮らす上で驚いた、日本との違いについて教えてください。
まず驚いたのは、学校生活の違いです。中学校の授業は先生がいる教室に生徒が移動する方式で行われます。そのため、生徒は自分たちの教室を持ちません。また、体育の授業でダンスをすることがあり、驚きました。
また、人々のコミュニケーション能力の高さにも驚きました。私は小学生の時は地元の、中学生の時は校内のバレーボールチームに所属していました。練習試合があると、試合後に相手チームとも一緒に写真を撮ったり、他のメンバーの親御さんから話しかけられたり、日本ではなかなか感じられないフレンドリーさを感じました。
アメリカでの英語教育はどのようなものでしたか?
アメリカではディスカッション・スピーキング中心の授業形態で、難しい文法や表現は習いませんでした。反対に、日本の英語の授業は文法中心のため、帰国後は、文法力は強化されたものの英語を話す機会が少なく、英語力の保持に苦労しました。英語をもっと使いたいと思い、妹と英語で話したり、TED Talksを見たりして英語に触れ、英語力の保持に努めていました。
海外で生活していた中で気づいた日本の良いところはありますか?
そうですね、日本の安全さ、安心さだと思います。日本では、子供が近くに遊びに行くのに友達同士のみで行動するのはよくあることだと思います。しかし、アメリカでは一人で街を歩くということがなく、常に親が同伴していました。子供たちだけで遊びに出かけられる街の安全さ、安心感が、アメリカにはない日本の良さの一つだと思います。
小学生の頃から約4年半の海外生活は、ご自身の価値観や考え方に何か影響を与えましたか?
比較的幼いころにアメリカに渡ったことで、性格が変わったと思います。具体的には、学校など家族を頼れない環境下において自分で物事をなんとかしなければいけなかったため、メンタルが強くなったと思います。また、他の国出身の友人と話すことでオープンマインドになりました。韓国出身の子から韓国語を学んだり、それぞれの文化を学んだりする中で、視野が広がったと感じています。
このほかに、この経験は自分の将来にも影響を与えたと思っています。アメリカでの生活の中で苦労して英語を習得した分、英語をたくさん使いたいと思うようになりました。
また、英語でやりとりができるようになると英語を介して通訳をする機会が多くなり、それがきっかけで将来は通訳になりたいと思うようになりました。東京外国語大学に入学したのも、英語をもっと使いたい、通訳になりたい、ということが理由です。実際に入学してみると、海外に住んだ経験がなくても英語を流暢に話せる人が多く驚いたと同時に、英語を存分に使える環境であるこの大学に入学して良かったと感じています。