〜生きづらさを抱えたあなたへ〜
(たにやまかおる)
第6章
大学受験の決意
半年でポーランド語講座が終わった。そのまま東京に居続けてその年の後半も受けるという選択肢もあったが、一旦地元に帰ることにした。地元に帰ってからもまだしばらく何をすべきかわからなかったが、一連の出来事もあり、大学受験に再び挑戦するという選択肢は頭の片隅にあった。とりあえず何をするにもお金はあったほうが良いと思い、ピッキング(牛乳などの紙パックの飲み物や乳製品などを配達先のスーパー別に仕分けをする作業)のアルバイトを始めた。
アルバイトをしながら今後の自分の方針についてどうしようかということについてあらゆる選択肢を考えた。今年も半分以上過ぎたが、今から勉強を始めて来年の受験に臨むか、今年いっぱいはアルバイトを続けてお金を稼いで来年の予備校代の足しにするか。ネットで通信制大学の広告を見つけ、通信制大学について調べたこともあった。通信制大学は入試なしで入学でき、また、私が恐怖心を持っていた大学キャンパス(広場恐怖症だったので)とも無縁だが、卒業率は格段に低い。また、あまり社会的な信頼度も高くなく、就職の際には卒業したことはあまりアピールにはならない。このままアルバイトを続けて自分で稼いで生きていけさえすればそれでもいいかもしれないと考えたこともあった。しかし、大学受験について考えないようにしてきたけれども、実際のところ、高校を卒業できなくて学歴が中卒扱い(高認合格では高卒扱いにはならない)であることを気に病んできたところがあった。通信制高校に通ってせめて高卒を獲得するという手段もあったが、卒業まで3年かかるし、通信制で最後までやりきれるのかという自信もそこまで無かった。そして、学校の勉強は辛かったものの、文法書を読み漁る言語オタクだし、自分から興味を持ったことに関する勉強はむしろ好きだった。これらのことを考慮して、やはり大学受験をしようと決めた。
来年受験するか、それとも今年はアルバイトで稼いでから再来年の受験に備えるかは迷っていたので、アルバイトもしつつ空いた時間で予備校には通わず自宅で勉強してみながら様子を見て考えることにした。以前のようにあまり考えずに出された課題をただこなそうとするような勉強ではなく、「勉強の勉強」にもしっかり時間を取るべきだと考えた。アルバイトからの帰り道に本屋に寄って効率の良い勉強法についての本を探して買って読んだり、インターネットで勉強法について調べたりした。スマホアプリを使った効率の良い勉強法を見つけたり、無料でライブ配信される授業の存在を知ったりもした。高校でお世話になった合唱部の顧問の先生が、別の高校にいるということを知って、訪ねに行ったこともあった。以後勉強について悩むたびにその先生に何度もお世話になることになった。勉強法を色々と調べたは良いものの、なかなか自分一人だけで勉強するのは難しく、来年の受験で大学に合格する自信はなかったが、失敗しても良いから受験したという経験があれば次に生かすことができるという母の助言にしたがって、センター試験に申し込んだ。社会的責任のあるアルバイトに時間をとられながら勉強するのは現実的ではないという記事も読み、アルバイトは10月頃にやめた。アルバイト代を使って定期的に開催される模擬試験を受験したりもした。
2018年11月6日 火曜日 16:26
地元にある公園のコスモス畑です。オープンアカデミーから地元に帰ってきて、二ヶ月のバイトの後、自宅で勉強を始めていた頃です。自分で自分の道を拓いていこうとするも、なかなかどうすればよいのか分からなくて不安な時期だったと思います。
このストーリーは、第1章から最終章までの8回と、補足文の全9回で掲載いたします。