不登校から東京外国語大学合格まで 〜生きづらさを抱えたあなたへ〜『第3章』

第3章
二度目の留年~引きこもりへ

 2017年、二度目の留年を決意した。新学期が始まる前に、今度こそは進級したいという藁をもすがる思いで10日間の絶食療法を受けた。突然どうして絶食なのかというと、社交不安を改善するためにあらゆる情報を探していたところ、絶食という危機的な状況をあえて作ることによって普段引き出されない力を引き出すという治療法があるということを知ったからである。絶食中は水と点滴だけで生活し、個室から出ることはできず、スマートフォンやテレビなども断ち、ひたすら自分と向き合い、ノートに思ったことを書き連ねていった。結局、絶食前と後で何か変わったことがあったかと聞かれると正直何とも言えなかった。きっと自分の関与できないところで何かが変わっているのだろうと信じて新学期に臨むほか無かった。

 絶食療法の効果はさておき、少しずつだが状態が改善していることは目に見えていた。前年は最後の日にたった1日だけ教室に入れたが、そのことは明らかに大きな一歩であった。この年は早くから教室に入ることができ、クラスみんなの前で自己紹介もできた。二度目の修学旅行にも参加した。
しかし、なかなか授業に参加することは難しく、個室登校と教室まで入ることを繰り返していた。そして、早い段階から進級は難しそうであることが分かってきた。担任からは、教室に入れずに個室登校を繰り返すなら高校に通うよりもいっそ退学して、自分の志望大に向けて予備校に通って、必要な勉強のみすべきだと諭された。今までなんとか高校を卒業しようと奮闘してきた私にとってこの言葉はショックで、号泣しながら過呼吸状態になり、身体中が痺れて倒れてしまった。
 しかし、その助言は的を射ているとも思った。その後、ようやく辛い思いをして留年しても徒労に終わるだけだと感じ、8月にこの高校を退学することを決意した。

 退学後、予備校に通い始めるが、11月頃から休みがちになって遂には通えなくなった。

 もう勉強はできないと思い、ほとんど諦めていた。もう勉強に執着する必要はないという考えになっていった。だからといって他に何をすれば良いのかも分からず、ただ無為に日々を過ごしていた。母の勧めで年末年始に印刷会社で作られる年賀状の検品作業の短期アルバイトをして、こんな自分でも社会に参加することができるのだと少し自信を取り戻したこともあった。しかし、アルバイト期間が終わると2018年の1月から3月までの約3か月間、やるべきことも見つけられずに、引きこもりとしてほぼ一日中家にいる自堕落な日々を過ごした。

ここから見る海の景色は綺麗で、気分転換したいときや辛くなったときなどに母に車に乗せて連れて行ってもらいました。高校を中退した後に通っていた予備校に通えなくなってきたところだと思います。このとき今後の人生についてどうしようか途方に暮れていたのかもしれません。