農業で「根」のアイデンティティを築いていく
〜「うちで農園」と園芸福祉 〜
うちで農園 農園長 小勝正太郎さん
リンガハウス教育研究所の近くにある農園、「うちで農園」。
この農園は「援農ボランティア」という形で、心の調子を崩されている人々が緑ある環境の中で体を動かせる機会を提供しています。
今回は、「うちで農園」の農園長で、東京外国語大学にゆかりのある、小勝正太郎(おがつしょうたろう)さんにお話を伺いました。(全8回)
第2回 園芸福祉による支援
うちで農園で実施している「援農ボランティア」は、受け入れに際して、「園芸福祉」という考えが念頭に置かれています。「園芸福祉」による支援の一つです。では。「園芸福祉」とはどのようなものなのでしょうか。農園長の小勝さんに伺いました。
園芸福祉とはどのようなものか教えてください。
小勝さん:「園芸福祉とは、農園での作業を通じて人々に健康づくりや 生きがいを得る機会を提供し、生活の質を高めてもらうことを目的としています。 同じようなもので「園芸療法」というものがありますが、「園芸福祉」とは少し違います。「園芸療法」は資格を持つ人が作成した専門的なプログラムのもと、支援を必要としている人に対して、その人のリハビリのために実施するものですが、「園芸福祉」は全ての人の健康づくりや生きがいのために実施するもので、プログラムを作成しなくても実施することが可能です。」
なるほど。では、なぜご自身の農園に園芸福祉を取り入れたのですか?
小勝さん:「それは、農業と福祉は密接なものだからです。もともと園芸福祉による支援の成功例をいくつか知っていたので、私の農園でも導入することは検討していました。導入の大きなきっかけは、園芸福祉の効果を実際に感じたからです。私は学生時代からある児童福祉施設に支援ボランティアとして通っているのですが、その施設の子供たちに農園の手伝いをしてもらったとき、農園の作業をすることによって、彼らの生活リズムが少しずつではありますが改善したのです。生活リズムの立て直しに農業が効果的であり、農業が彼らに良い影響を与えることを実感できたため、本格的に園芸福祉、「援農ボランティア」を始めることにしました。」
小勝さんは、農業はなぜ人を元気付けることができると思いますか?
小勝さん:「そうですね、農業には人を元気にさせる要素がたくさん含まれているからだと思います。農作業は体を動かしますし、外で太陽の光を浴びながら、自然に触れながら作業をすることも多いです。また、仲間と言葉を交わし協力し合う場面もよくみられます。先ほどもお話しした、生活リズムが整うという側面もありますね。 このような運動や自然との関わり、仲間とのコミュニケーションは人の心を豊かにし、気持ちを良い方向へと変え、人々を元気付ける力があります。農業がこのような人々を元気づける要素を持っていることが、農業と福祉が密接に関わっている理由であり、園芸福祉の可能性が大きいということを表していると思います。」
小勝さんは、現在は園芸福祉という方法で人々を支援していますが、かつては東京外国語大学でアラビア語を専攻する学生でした。なぜ外国語や国際関係の道ではなく、福祉と農業の道に進むことにしたのでしょうか。
次回は、小勝さんの東京外国語大学時代についてお話を伺います。
*冒頭の写真は、西武多摩川線をバックに、農園での小勝さんご夫妻。
うちで農園
公式HP:
https://uchidefarm.com/
公式Instagram:
https://www.instagram.com/uchidefarm/
農園・直売所:東京都府中市紅葉丘3-49
アクセス:
西武多摩川線 多磨駅より徒歩10分
西武多摩川線 白糸台駅より徒歩12分
京王線 武蔵野台駅より徒歩15分
うちで農園さんのトマトは、以下の店舗と直売所でお買い求めいただけます。
マインズショップ多磨店(定期販売)
府中特産品直売所(定期販売)
コープみらい寿町店(不定期販売)
ライフ東府中店(不定期販売)
うちで農園前自動販売機
インタビューブログ『農業で「根」のアイデンティティを築いていく 〜「うちで農園」と園芸福祉』全8回