農業で「根」のアイデンティティを築いていく
〜「うちで農園」と園芸福祉 〜
うちで農園 農園長 小勝正太郎さん
リンガハウス教育研究所の近くにある農園、「うちで農園」。
この農園は「援農ボランティア」という形で、心の調子を崩されている人々が緑ある環境の中で体を動かせる機会を提供しています。
今回は、「うちで農園」の農園長で、東京外国語大学にゆかりのある、小勝正太郎(おがつしょうたろう)さんにお話を伺いました。(全8回)
第6回 農業の道へ
児童福祉の道には進まず、自分にしかできない農業の道へ進もうと決心した小勝さん。今回は、農業の世界へ飛び込んだ後のエピソードや今後の展望について伺います。
農業についてのお話を伺います。うちで農園さんは現在どのような作物を育てているのですか?
小勝さん:「我々の農園では、トマト、さつまいも、枝豆、玉ねぎなどを育てています。特に、トマトは“よみがえり”というブランドとして販売しています。」
次に、農業を始めてから苦労されたことについて伺います。“第二の創業”とはいえ初めてのことが多かったかと思いますが、特に苦労されたことは何ですか?
小勝さん:「そうですね。まず初期投資が莫大だったことですね。農園自体はあったものの、機械や物置を揃えたり、木を伐採したりして農業ができる環境を整えるのに、数年かけて1000万円以上もの費用を捻出しました。一般的に、農業を一から始めるには1500万円前後が必要と言われていますが、おおむね私の体感と一致しています。また、そのお金とは別に、鉄骨のビニールハウスにも借入を行い、投資しました。どうにか農業を始められた後も、自然災害には苦しめられました。台風などの大きな災害はもちろん、ひょうが降って苗がだめになってしまうこともありました。これを受けて、根菜類など災害に強い作物の栽培にシフトしました。またビニールハウスも風速50メートルの暴風にも耐えられる頑丈なものに変え、近年多く発生している異常気象の中でも農園のダメージが少なくなるよう、工夫しています。」
確かに天候は収穫量に大きく影響してしまいますから、そのような工夫は非常に重要ですね。では反対に、農業をしていて喜びを感じる瞬間についても教えてください。
小勝さん:「はい。喜びを感じる瞬間はたくさんありますが、大きく2つあります。1つは、困難を乗り越えた時です。災害などのリスクを乗り越えて作物を収穫できた時にはやはり大きな安堵感があります。2つ目に、自然を感じられることです。農作業は早朝から始めるのですが、夜明けの神秘的な風景にはとても感動しますし、生き物を身近に感じられることも農業の良さだと感じています。」
うちで農園さんの今後の展望・ビジョンについても教えていただけますか?
小勝さん:「そうですね、まず、“よみがえり”トマトのブランドをキープし続けたいです。ブランドを立ち上げてまだ2年目ですが、より多くの人に手にとっていただきたいですね。また、収穫体験や貸し農園など、畑に人を招くビジネスができたらと考えています。」
そんなうちで農園の大きな特徴、それが「援農」です。次回は、うちで農園さんが農業を通じて行なっている支援、また小勝さんの思いについて伺います。
*冒頭の写真は、西武多摩川線をバックに、農園での小勝さんご夫妻。
うちで農園
公式HP:
https://uchidefarm.com/
公式Instagram:
https://www.instagram.com/uchidefarm/
農園・直売所:東京都府中市紅葉丘3-49
アクセス:
西武多摩川線 多磨駅より徒歩10分
西武多摩川線 白糸台駅より徒歩12分
京王線 武蔵野台駅より徒歩15分
うちで農園さんのトマトは、以下の店舗と直売所でお買い求めいただけます。
マインズショップ多磨店(定期販売)
府中特産品直売所(定期販売)
コープみらい寿町店(不定期販売)
ライフ東府中店(不定期販売)
うちで農園前自動販売機
インタビューブログ『農業で「根」のアイデンティティを築いていく 〜「うちで農園」と園芸福祉』全8回